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Aro/Ace調査ができるまで

AsBlog(アズブログ)は、AsLoop(アズループ)がアロマンティック/アセクシュアル・スペクトラムについて紹介するコラム集です。

今回は、AsLoopメンバーが対談形式で「Aro/Ace調査を行うまで」についてお話をします。

なぜ調査を実施したのか

どのような背景や経緯があったのか

などを簡単にご紹介します。

(中村): 皆さん、ついにAs Blog本格始動ですね!今回はテーマにもある通り、Aro/Ace調査(アロマンティック/アセクシュアル・スペクトラム調査)の経緯をお話をしていきたいと思うのですが、結構いろんな場所で聞かれるテーマだったりしますよね?

 

(三宅): そうですね。「そもそもなぜ調査を行うことになったのか」、「どのような背景があったのか」といった質問は取材の場などでよく尋ねられる気がします。

 

(今徳): もう少しで2022年の調査も始まりますし、振り返ることでいろんな気づきがありそうですね。思い出すと、そもそもこのメンバーは各自が別の活動をしていて、調査がきっかけでグループとして活動するようになりましたね。今でもそれぞれの活動は個別に取り組んでいますが。

 

(中村): そうそう!私はAro/Ace当事者としての発信活動、三宅さんはAro/Aceに関する研究活動、今徳さんはAro/Ace当事者向けの交流会に関する活動を中心に行っていたんですよね。それで4年ほど前に、元々交流会等で繋がりがあったのもあり、お茶しながら活動についていろいろと話しているときにアイデアの一つとして調査をやろうという話になったことを覚えてます…!それがまさかここまで大きな話になるとは驚きです。

 

(三宅): ほんとですね。ただ、「調査をやろう」というのも思いつきで出たわけではなく、英語圏でこういったコミュニティの調査はすでに行われていて(例えばThe Ace Community Survey)、それがAro/Aceの可視化に影響を与えてたことを知っていたので、日本でもやりたいという考えがありました。

 

(中村):それと、その頃にコミュニティ外への発信活動や取材依頼も増えてきていて、取材で交流会で聞いた話をもとにした感覚的な回答しかできないことに難しさを感じていました。

 

(今徳): そうですね。確かに取材の時に「アセクシュアルと言っても本当に多様なんです」と伝えたくても、その根拠となるものが少なくて悩んでいました。取材によっては、やや偏見が含まれる質問もあって、そういう時に示せる資料が欲しかったです。それと、私は交流会に参加してくれた人の話を基にお伝えしていたので、交流会に参加していない人たちの声を届ける方法も模索してました。その点で、アンケート調査というのは多様な当事者の声を届ける新たな方法かなと思いました。

 

*写真はイメージです

 

(三宅):「可視化」と「多様性」、そしてそれを示す根拠の不足。このような背景があり、調査の目的を以下の三つに設定しました。

  1. Aro/Aceの可視化を促す
  2. Aro/Aceコミュニティに集まる人たちの多様性について議論するための情報を収集する
  3. Aro/Aceに関する情報を提供し、学術研究の発展やAro/Aceに関する運動の活性化に寄与する

(中村): ただ、始めようとなってからはそう簡単にはいかなかったですよね。実は企画から実施まで2年近くの年月がかかっていて…。

 

(三宅): 最初は英語圏の調査を翻訳しようと思いましたが、日本と英語圏では使う用語や質問内容が言語、文化、歴史などの理由からかなり違っていたりして…。でも、参考にはなる部分はたくさんありました。

 

(今徳):そうですね。例えば、英語圏の調査を見ていて、「あ、これは社会に存在するAro/Aceに対する偏見を意識しているな」と感じる質問がいくつかありました。そこで、私たちもこれまでに見聞きしたAro/Aceへの偏見(と思われるイメージ)が、実際のところどうなのかということを検討できるような質問を一部入れました。

 

(中村):それから、アンケート調査などに詳しい専門家として、平森大規さんにアドバイスをいただいたのも大きいですよね。

 

(三宅):そうですね。質問の仕方や選択肢の検討の際に助言をたくさんいただくことができて本当に助かりました。

あと、協力という点では、多くのAro/Ace当事者の方の協力も大きかったと思います。とくに、本番の調査の前に、Aro/Aceの当事者の方々に回答いただく「テスト回答」をお願いしたいのですが、自分たちでは気が付かない点をたくさんご指摘いただくことができて本当にありがたかったです。

 

(今徳):回答してくれた方はもちろんですが、実施前から多くの人の助けがあったからこそのAro/Ace調査ですよね。

と、こんなふうに振り返ってみるとやはり話しきれないくらいにいろんな話が出てきます。実施までの道のりを小話含めて話そうとするとなかなか終わらないと思うので、それはまた別の記事にした方が良さそうです笑

 

(中村):そうですね。次回はAro/Ace調査2020実施後の発見や反響についてお話をしたいと思います。

さらに、次の調査の目前ということもあり、Aro/Ace調査2022の詳しい情報もお伝えします!

では、また次回もぜひご覧ください。ありがとうございました!

Aro/Ace調査2020の結果についてはこちらからご覧ください!